「現代マネジメント研究」第7回 都竹淳也氏 講義

2021年度 野球 賭博 アプリ ・シティカレッジ各務原・関 公開講座

第7回 「人口減少時代を生き抜く過疎自治体の挑戦」

飛騨市長
都竹淳也 氏

講演する都竹淳也氏

今年度の「現代マネジメント研究」第7回の公開講座が7月20日、各務原キャンパスで開講されました。同講座は各界のトップリーダーを講師に招き、グローバルな視点とマネジメント能力を持つ人材の育成を目的に開催しています。この日はコロナ感染症防止対策に万全を期して開講し、教育学部の学生と聴講を希望された市民の皆様を含めて約110人が出席しました。

講師としてお迎えしたのは、飛騨市の都竹淳也市長です。都竹市長は岐阜県職員として県知事秘書、県総合政策課と県商工政策課の課長補佐、県障がい児者医療推進室長を務めた後、2016年3月に市長に就任しました。行政のプロとして卓抜した手腕を発揮し、「元気であんきな誇りの持てる飛騨市づくり」を市政のスローガンに掲げ、アイデアあふれる街づくりに取り組んでおられます。2020年に無投票で再選を果たし、現在は2期目です。

講義では、はじめに飛騨市が岐阜県最北端の市であり、市有面積の93%が森林であること、市内の川は日本海側に流れ、岐阜県庁に行くよりも富山県庁に行く方が近いこと、東京に出張する場合も最近は富山市に出て北陸新幹線を利用する人が多いことなどが紹介されました。人口は約2万3000人ですが、2011年から2021年までの10年間で約4000人が減少しており、都竹市長は自ら「人口減少先進地」と呼びます。その一方で全国的な話題にも事欠かず、アニメ映画「君の名は。」で知られる聖地巡礼や、2人のノーベル賞受賞者を輩出した素粒子観測装置スーパーカミオカンデ、ユネスコの無形文化遺産に指定された勇壮な起し太鼓の古川祭、中日ドラゴンズの根尾選手の出身地であることなど、多彩な魅力を紹介しました。

「すべての課題は人口減少にあり、加速度的に進む人口減少を前提に市政に取り組むしかない」と話す都竹市長。「人口減少先進地として課題は山積しているが、だからこそ全国の自治体に先駆けて過疎対策に挑戦する価値がある」と強調し、「今日は特に飛騨市ファンクラブと関係人口について話したい」と切り出しました。

人口減少によるマイナスの影響としては①消費人口が減少し、地域の商業、サービス業が無くなる。スーパーや小売店も営業が難しくなり閉店する②高齢者が増えると要介護者も増えるが、人口減少で介護する人がいない。特別養護老人ホームも休床し、高齢者の受け入れができなくなる③担い手不足と高齢化で地域の保育園、小学校、自治会組織などが存続の危機に直面する④製造業は人手不足で生産量が増やせなくなるーなど深刻な課題を次々に浮き彫りにしました。
講演する都竹市長
人口減少対策として都竹市長は「地域外の人々との交流」をキーワードに掲げ、2017年に「飛騨市ファンクラブ」を設立しました。ファンクラブは市に心を寄せてくれる全国の人々とつながり、集い、語り、飛騨市をさらに楽しんでもらおうというコミュニティです。

ファンクラブの会員証を飛騨市内の飲食店や土産品の協力店で見せると、さまざま特典や割引を受けられます。会員証には電子マネー楽天Edyの機能を導入し、買い物をするとスーパーポイントが加算されます。さらに利用額の0.1%は自動的に市に寄付される仕組み。会員には市が無料でオリジナルの名刺100枚をプレゼントし、名刺を配ると協力店の特典を受けられるほか、たくさん配った人には枚数に応じてラーメンや惣菜、飛騨牛など「ふるさと納税返礼品」が贈られます。7月20日からは会員証に地域電子通貨「さるぼぼコインアプリ」の機能を導入し、アプリ利用で会員証を持ち運びする手間を省きました。

ファンクラブの設立当初は遅々として会員数も増えなかったと言いますが、市長や市職員がSNSを駆使してWEBサイトでアピール。会員証の発行が遅くなったことを市長自ら「おわび記者会見」するなどユーモラスな内容が「バズる」(短期間で爆発的に話題が広がる)ことで人気が急上昇。新聞やテレビなどマスコミにも取り上げられ、会員数は現在では7400人を突破しています。

会員は岐阜県、愛知県、東京都が多く、年齢層は40代から60代までが多いと言います。実際に会員が集まるファンクラブの集いを東京、大阪、岐阜で開催し、東京の集いでは居酒屋を会場にして飛騨市の薬草料理や旬の食材を提供して評価をアップ。飛騨市の集いでは、市長自ら街案内を買って出て、地元の人しか行かない「ディープな」焼き肉店に案内して好評を得ました。さらに岐阜市の情報誌と連携して2018年にバスツアーを募集したところ、大型バス一台の定員40人がすぐに満席に。市長がガイド役となり、飛騨宇宙科学館カミオカラボや古川町の屋台蔵、酒蔵などを案内し、ファンクラブの拡大につなげました。
昨年からの新型コロナ禍でツアーイベントは開催できなくなりましたが、代わりにオンライン・ツアーを企画。参加者には3000円から5000円のボックスを買ってもらい、飛騨市の特産品や酒を事前に宅配。リモートで観光地を案内した後、オンライン飲み会を開くなど知恵を絞っています。
こうしたファンクラブに加え、都竹市長が注力しているのが「関係人口」の掘り起こしです。「関係人口」とは観光に訪れた「交流人口」ではなく、移住した「定住人口」でもない。いわば観光以上、定住未満で、地域と多様に関わる人々を指します。国も「関係人口」に近年注目しており、総務省では①地域の特産品の購入②地域への寄付⓷頻繁な訪問④地域でのボランティア活動⑤二地域居住などの準定住—を指すと分析。過疎地域の課題解決に参加してもらえるネットワークづくりが期待されています。

飛騨市ではこれまでもファンクラブ会員として、大阪市や愛知県、石川県の40代、50代の男性など多くのリピーターが市を訪れ、地域活動に参加してきました。そうした「常連さん」との交流をさらに深めるため、市は「ヒダスケ」=関係人口案内所をスタートさせました。

「ヒダスケ」のプログラムはWEB上に掲載され、飛騨市や地域のためにお手伝いをしたい人と、暮らしの一部を体験してもらいたい市民とをつなぎます。昨年度は年間45のプログラムがあり、延べ400人を超える参加者がありました。「ヒダスケ」のプログラムは農作業の手伝い、新商品のモニター、デザイン、アイデア出しなど多彩です。おこめ部、薬草部、お酒部など部活動もあります。例えば、おこめ部は飛騨市のお米を堪能してもらうためアンバサダー(大使)を認定し、お米の味や評価について投稿してもらう。移住してきた鮎釣り名人には宮川の鮎を「飛騨天然あばれ鮎」として売り出す方法を考えてもらいます。さらには過疎化が進む飛騨市宮川町には「ふるさと種蔵村」を開村しました。種蔵村は農村の原風景を守るため、集落内の草刈りや石垣の修繕、棚田での米の生産を支援してもらえる人を募集。協力者にはオリジナルの村民住民票を交付して特産品もプレゼントします。

都竹市長は「関係人口には3段階がある。第1段階は飛騨市に関心を持ってくれる関心人口、第2段階はファンクラブに参加してくれる交流人口。その中でヒダスケとして地域に手伝いに来てくれる第3段階の関係人口は1-3%に過ぎない。いま7000人を超えるクラブ会員がいるが、その1%に当たる70人-100人がヒダスケになってもらえる可能性がある」と期待する。

「人口減少は課題だらけだが、課題は地域資源にもなる。いろんな課題が起きると、新しい資源になると考えます」と常にポジティブな都竹市長。「地域資源、課題は無限大です。現実的に冷静に考え、過度に期待せず、楽しみながら地域を支えてくれる人を確保していきたい。楽しくチャレンジすることで前向きのムードを作り、飛騨市を元気にしていきたい」と講義を結びました。人口減少のマイナスの影響を軽減するとともに、地域の魅力を高め、産業を支える人材を確保しようとする都竹市長のアイデアあふれるチャレンジ精神は、会場の学生や市民に大きな共感を呼んでいました。 


(文責:碓井洋  写真:林賢一、野口晃一郎)

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